心の穴を埋めるために自費で雑誌を出版するということ。
「Clubism」という雑誌を知っていますか? 「金澤」という雑誌を覚えていますか? 地方都市の金沢で、天才編集者がつくり出した宝石のような2つの地方誌でした。 私は幸運にも出版社代表のH氏と知り合い、彼が考えた創刊号の企画シートをもとに、タイトルロゴや誌面イメージ、発売プロモーション用の広告や印刷物などのデザインを担当させてもらいました。 「日本一の雑誌デザインを考えてもらえない?」と依頼された「Clubism」の創刊号と創刊2号、2冊のデザインは、私にとって最も印象に残っている仕事ですし、「金澤」も地方で発行する雑誌としては、ビジネスとして成り立たないのではと不安を持ちながらも、覚悟を持って引き受けた仕事でした。
突然のコロナ禍により石川県から2つの雑誌が消え、私の心にぽっかりと穴が開きました。雑誌「金澤」の復刊を目指して、タイトルの使用許可を関連事務所に打診したのですが、我が社には使用権利を渡せないと(やさしく)言われました。相当額の金額を提示したつもりですが……
どれだけ待っていても「金澤」は復刊しないと分かったとき、心の穴を埋めるために「Kanazawa Style」と名前を変えて出版することを決心しました。 「紹介する件数は少なくても、編集者が本当に紹介したい情報だけを載せる雑誌にしたい」と話していたH氏の意志を「Kanazawa Style」が引き継いでいければと考えています。彼のような天才ではありませんが……。
「Kanazawa Style」発行人 西口 敏広
◎雑誌「Kanazawa Style」は『金沢駅観光案内所』(JR金沢駅構内)と『金沢中央観光案内所』(金沢市南町4-1)の2カ所で配布中です。書店では扱っておりません。(なくなり次第、配布終了となります)